なんでブライダル情報誌ってゼクシィしかないの?

ゼクシィは単独一位独走状態?

結婚するなら「ゼクシィ」と言わんばかりの独占形態を確立している時代はいつまで続くのか。一見、他に読むもの、情報誌はなさそうである。というか、知らない。人が多いと思う
ネットの中に入れば色々あるのだろうけれど、結婚式を控えていない人にとって、ゼクシィ以外の名前を耳にする(目にする)ことはない。正確に言うと、目にしているのだが記憶になっていない。ので、ゼクシィの競合ってなんで出てこないのかね?なんて質問が、ホリエモンの口から聞けたりする。(鮨会にて>くわしくはこちら

さて、本当にいないのか?
と、問われれば、NOである

古くは、そこに戦いを挑んだ?!有志が沢山あったのです。懐かしい話になりますが、ぴあ刊行の「けっこんぴあ」シティーリビング刊行「シティーウエディング」、オズマガジンの「OZウエディング」、他にも女性誌などが季刊で出版していたり、ゼクシィとは住み分けをしながらもいつかは・・・と、競合というその座を狙っていたようにも思えます。それほど古い話でもないのになんだか昔話のようです。

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結局、差別化をはかれず、衰退し廃刊となりました。そんな中、25ansウエディングは未だに続いていたり、ヴォーグウエディングが創刊されたりと、住み分けがきちんとできている、ファッション誌という媒体はドレスというカテゴリーが強いこともあって存続しています。和に特化、プランナーに特化、手作りアイテムだけに特化したようなマイナーウエディング誌は増えている現状もあるのですが、こうなると、ゼクシィという比較対象競合とはあまり関係なくなってきますね。

競合敗退理由から見る業界悪しき伝統?!

当時のいくつかのウエディング雑誌が衰退した理由の一つに挙げられるのが「営業」手法です。代理店に販売を100%任せる媒体がほとんど、ページを代理店に売る→代理店がクライアント(会場)へ売るという図式。ブライダル業界に古くから君臨している、小規模な代理店が長い付き合いという名のもと、必死に売るわけですが、全く戦略的でないことが多い。「○ページでいくら、○ページサービスします。」戦略も何もない事が多い。

この記事は2016年に書いたものですのでご理解の上読み進めてください。あえて変わらないもの、変化したものを読み解き、これからに生かしていただけると思いそのままにしております。

ユーザーがどこを向いていて、だからこういう出し方に、方向性をというようなマーケティングデータもない、綺麗でかわいい写真を並べてハイ終わり。自社の雑誌でもないし、いくつかを抱き合わせで販売したりするので、雑誌愛も感じられない、その雑誌の根本的な戦略すらわからないし、出版社から与えられたテーマやコンセプトだけをなぞらえて終わり。

一方、出版社自身が営業する場合、雑誌愛が強すぎて「うちの読者は・・・」の連打。編集者が来るわけで、ユーザーにとって読みやすい手法や、引きのある写真を選ぶことはできても、その会場に対してもっとこんなプランがいいとか、案が出せるわけでもないし、大概女性紙などからの移動なのでウエディング市場に対しての基礎知識が薄い。一生に一度の結婚式の好みを、自社の読者であっても分析しきれていない。元々全国紙で地域性もなかったりするので、結婚式という狭い範囲でターゲットや趣向が絞られることに向いていないことも大きく影響したと言えると思います。

そんな感じで、売れるわけがないわけです。クライアントに売れなければ、掲載会場数の少ない雑誌になり、ユーザーにとってもメリットの少ないものになるから、売れない。掲載数増やすためにページの安売り、価格競争。売れない本は、本屋さんで平積みすらしてもらえず、棚に並んで埋もれるのでますます売れないし、クライアントも「どこの本屋にあるの?」なんて始末。丁度ネットの参入もあり、そこでも戦えずハイ敗退。

その点リクルートゼクシィは、どちらかといえば当時の方が「営業」手法が強かった。圧倒的に、データと戦略的提案で勝負していた。当時はデータ収集も葉書(巻末に山のようにはがきが付いていたのが懐かしい)というアナログで、今思えばよくまぁ・・というところ。多少はったりがあっただろうとはいえ、他を追随させない戦略的な営業が何よりも大きい違いだったと思う。自社の商品を自社で売るので、商品愛も感じることもでき、会場を一緒に良くしていこうという意気込みもあった。ウエディングという一生に一度しかないコンテンツでの流行り廃りは結局業界が作るもので「これ、流行らせましょう!」という企画力も強かったと思う。

WEB競争は自由、悪しき伝統なんのその

さて最近の競合といえばもう、雑誌というアナログな手法に手は出してこない。ので紙の世界だけでいえば、関東は圧倒的にゼクシィ。ただし例外もある。関西地区ではREYウエディングが市場を大きく持っているし、新潟ではこまちウエディングという新潟独自雑誌が幅を利かせていたりするので、地方侮れないのである。地方の独特な文化はそれぞれあるのだが、特徴としてゼクシィより古くから地元に根付いているというのが最大の特徴かもしれない。

昨今の情報収集手段は当然のごとくWEBである。なので、その世界にはもちろん競合はたくさんいるし、ゼクシィは独占媒体では全くない!と言ってよい。もちろん、知名度という段階では他社を圧倒している、が、ゼクシィと検索するユーザーと結婚式場 東京などというキーワードで探すユーザーどちらが多いのかといえば、それは後者であろう。となれば、戦場は平等に与えられている。その中で、競合といえる媒体はいくつか存在している。

見積もりをいち早く公開し、ユーザー口コミ数NO1サイトとなった「みんなのウエディング」、オフィシャルサイトへの誘導をメインに検索SEOに強く、掲載費の安さもあり会場登録数NO1になったウエディングパーク、数年前まで口コミをはがきで集めていたわけだが、今思えば不思議なものである。その他、リクルートと同じ業態でenジャパン、マイナビがウエディングに参入しているが、今一つ成果が出ていない。二番煎じそのものであり、やはりこちらも営業力の弱さに難ありというところだろう。

この頃まで、情報収集ができるサイト、情報量や内容(口コミなど)が差別化要素だったのは言うまでもない。ただ、昨今の競合は変わってきている。格安婚といわれる「楽婚」「すぐ婚」「スマ婚」の参入。この価格、このスタイル、でやりたければこのサイトで探せ!というプロモーション。

「ユーザーに対しては様々な会場、プランを網羅しぴったりが見つかる!」「クライアントに対しては、ぴったりのユーザーに響く広告出しましょう!」という中で価格についての誘導をタブーにしてきた感のあるゼクシィに対して、「格安婚できるよ!」とユーザーをひきつけ、クライアントには「この価格で、こういうプランで出してください。そういったユーザーを紹介します」という踏み込んだスタイルを打ち出してきた。料金体系が不透明で高額だというイメージの強いブライダル業界において、最大のネックだったそれを払拭することをメインに打ち出して大成功を収めた。

少なくとも、格安にやりたいとか、少人数で家族だけで・・・というようなユーザーは、こういった格安婚系サイトを利用して行うことが多くなっている。一方会場側は色々な広告コンテンツを使わないと、ユーザーを取り込めなくなり、一社独占の方が良かったかも?とすら思える広告費分散型になりつつある。予算が湯水のごとくあるわけではないので、ゼクシィを減らしてでもこちらへ出稿すべきかという戦略会議が日々繰り広げられるのだ。

あんなに重いのに本を買う人は減らない

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WEB検索の段階ではゼクシィは圧倒的ではないと言っていいだろう。一方で、なぜ紙が売れているのか?この、本離れが激しい時代に、あんな持って帰るだけでも筋トレになりそうな本を女子は買うのか?

最近結婚した女子に聞いてみたところによると
「一生に一度しか買わないと思ったから」
「コンビニでこれを買うのも夢だった」
「よくわからないから、とりあえず」
なのだそうです

コンビニで平積みされ、見かけ続けるゼクシィ、今の婚礼世代には小さいころからCMでなじみのある名前「ゼクシィ」には刷り込みにも似た、イマドキ女子のあこがれ心理が働くのかもしれません。あと数年もすれば、現在CMでよく耳にする斎藤工の「すぐ婚」や鈴木奈々の「スマ婚」などが、それに代わってくるのかもしれないと思うと、楽しみです

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更にこれからは、情報を探しに来る人に向けたサービスというのは劣化していくだろうと想定されます。SNSやアプリの進化、ターゲティングのしやすさ、アルゴリズム最適化、スマホ世代、#ハッシュタグ検索というスタイル、お客様に対して会場が直接働きかけられる機会が圧倒的に増え、刷り込みも可能になってきました。

沢山のお客様を集めている媒体を使って、その中のわずかな自分の会場に合ったお客様に来ていただくための試行錯誤を繰り返してきた時代から、自分の会場のスタイルに合った、好みに合ったお客様に対して事前に働きかけ続けることや、お客様同士のつながりからの誘導など、使用する媒体も変わっていくことでしょう。

一生に一度の結婚式だから、常識も知識も要望も何もなくて当然。何もわからないタイミングに「ここから探して!」といって、あでやかすぎる写真の数々を見せて選ばせるのはもともと無理があるのです。結婚式が高額であることもさらにその難易度を上げています。これ、という何か一つのツールに頼るのではなく、多くのツールを使いながらもう少し優しくなっていくことでしょう・・?!

あくまでも個人的な意見ですので(笑)

2016年に記載した記事です。現状はかなり変化していますのであしからず。

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