長年使われてきた旅館の几帳や掛け軸などが古くなり、新しいもの、または代わりになる調度品を探してほしいとのご依頼をいただきました。
今回求められたのは、単に新しくてきれいなものではありません。旅館の和室になじみ、昔ながらの風情と上品さを感じられること。そして、必要な枚数を無理のない予算でそろえられることが条件でした。
インターネットで何でも購入できる時代ですが、旅館や料亭に合う和の調度品は、検索するだけではなかなか見つからず、そこで今回は、静岡の着物店や都内の骨董市へ実際に足を運び、几帳、掛け軸、衝立、飾り物などを探すこととなります。
古くなった旅館の調度品を入れ替えたい
掛け軸は、現在も掛け軸専門店や百貨店、インターネット通販などで販売されています。既存の額に合う絵を探すことも、比較的容易です。
一方、なかなか見つからなかったのが几帳でした。
几帳とは、布を掛けて目隠しや間仕切りとして使う、日本古来の室内調度品です。百人一首などの絵柄でも目にしたことはあると思います。

神社の神殿などで使われる几帳は現在も比較的多く流通しています。しかし、一般の旅館や料亭に置くものとは柄や色合い、全体の趣が異なるのです。
京都には生地選びから仕立てまで依頼できるお店もありましたが、一から製作すると費用も相応にかかります。
オークションサイトで中古の几帳を見かけることもありましたが、状態、柄、寸法、必要枚数まで考えると、自由に選べるほどの品数はないですし劣化の状態もわかりにくく手が出しづらい・・・
几帳の台を手掛かりに販売店を探す
今回は、几帳を支える台にも劣化が見られました。まずは几帳台を修理するか、新品を購入できないかと探し始めることに。
「几帳の台を作っているところなら、几帳そのものについても何か知っているかもしれない」
そう考えて問い合わせたところ、静岡県にある一軒のお店を紹介していただきましたが、そのお店にはホームページがなく、どのような品を扱っているのかは、実際に訪ねなければ分かりません。ほかに有力な手掛かりもなかったため、静岡まで向かうことに。
静岡の着物店で出会った几帳と掛け軸
訪ねた先は、普段は着物を扱っているお店でした。現在ではあまり売れることがなくなった几帳や掛け軸、さまざまな和の調度品を、先代が長年にわたって集めていたそうです。
訪問に合わせ、倉庫に保管されていた品々をわざわざ出して用意してくださいました。
そこで、たくさんの几帳、掛け軸、衝立、飾り物と出会うことが!ネット検索では見つけられなかった品が、ひっそりと倉庫に眠っていたのです。



写真・寸法・価格を確認して選定
気になる調度品は一点ずつ写真に収め、寸法、状態、価格を確認。その場で確保できるものは取り置きをお願いし、情報を持ち帰ってご依頼主へ報告しました。
- 実際の和室に合う色や柄か
- 必要な枚数をそろえられるか
- 傷みや汚れはどの程度か
- 修理や洗浄をして使えるか
- 既存の掛け軸や家具と調和するか
写真を見ながら一つひとつ話し合い、承諾をいただいて購入。几帳だけでなく、和室の間仕切りとして使える衝立や、空間のアクセントになる飾り物も併せて選ぶことに。
骨董市でも旅館に合う調度品を買い付け
調度品探しは、静岡だけでは終わりません。
東京国際フォーラムで開催される大江戸骨董市、世田谷のボロ市、青山周辺の蚤の市などにも足を運びました。目ぼしい骨董品や古道具を見つけたときは、写真、寸法、価格、品物の状態を確認して依頼者へ連絡します。旅館の客室や共有スペースに置いたときの姿を想像しながら、購入するものを選定し、良さそうなものが多い出展者にはお店の場所などをリサーチ、店舗が無ければその場での価格交渉なども行い即日購入も。

和の調度品は実物を見ることが大切
インターネット通販が充実した現在でも、古くて趣があり、なおかつ手の届く価格の調度品を探す場合は、現地へ足を運ぶのが一番なんです。
特に骨董品や中古の調度品は、一点ずつ状態が異なり、写真だけでは分かりにくい傷や汚れ、色合い、素材の質感、品物そのものが持つ佇まいも、実物であれば確かめられます。サイズだけでなく、お部屋に置いたときの存在感を判断できることも、現地へ出向く大きな理由です。
修理と洗浄を行い、旅館の空間を一新
こうして、ご要望に沿った几帳、掛け軸、衝立、飾り物などをそろえることができました。
すべてを新品へ入れ替えたわけではありません。
これまで大切に使われてきた調度品についても、状態を確認し、修理や洗浄を行いました。役目を終えたものは整理し、残すものと新しく迎えるものを組み合わせています。
旅館が積み重ねてきた時間や風情を残しながら、空間全体を生まれ変わらせることができました。
ネットで見つからなければ、現地へ探しに行く
検索しても見つからない。販売店も分からない。
それでも、人に尋ね、紹介を受け、現地へ足を運んでみると、思いがけない場所に探していたものが眠っていることがあります。
この仕事をして以来、地方へ出掛けると、骨董店や古道具店、土産物店をつい覗くようになりました。骨董市の開催を知れば、今でも「何か良いものがあるかもしれない」と足が向きます。
必要なものを机上で提案するだけでなく、見つからなければ探しに行く。
旅館や店舗の個性に合うものを見極め、購入、修理、設置まで一緒に考えることも、Office Linkの仕事です。
よくあるご質問
旅館や料亭に合う几帳はどこで購入できますか?
神社用の几帳は比較的多く販売されていますが、旅館や料亭に合う柄や風合いのものは限られます。専門店への仕立て依頼、中古品、骨董店なども含めて探す必要があります。
中古の掛け軸や衝立は旅館でも使えますか?
状態や設置場所によりますが、修理や洗浄を行うことで再利用できるものがあります。購入前に傷み、寸法、素材、設置時の安定性を確認することが大切です。
古い調度品はすべて入れ替えた方がよいですか?
すべてを新品にする必要はありません。旅館の歴史や雰囲気を伝える品は残し、修理できないものや空間に合わなくなったものだけを入れ替える方法もあります。
写真の代替テキストには「旅館用に買い付けた几帳」「和室に設置する掛け軸と衝立」など、写真の内容を正確に表す言葉を入れると、画像検索にも伝わりやすくなります。

