43歳にして妹弟が3人いることを知る②

更に驚く様なことはもうこれ以上ないと思いたい。この後も奇なことは続くのです が、その原因、要因はすべて奇なる母と父によってもたらされると、私は薄々気が付いてきた。人は人生に一冊は本が書けるらしい、それは自分の人生を題材にした本だという。何と言うか私はこの題材だけで1本が書けそう(笑)とはいえ、下世話なネタが多すぎて、小説やドラマなら逆に嘘っぽくなるのではないかと思ってしまう。

母、父に会いに行く

母が父に会いに行ったその日、やはり少し気になりメールもチェックも頻繁になる。だが、一向に連絡がない。普通「今、会ってきたよ!」っていう報告があって良いものでしょう?と。私からメールすべきなのか、イライラしながら日をまたごうかという頃、母からようやくメールがくる。

「カラオケ行って今帰った。超眠い~、明日ねお休み。」
はぁぁぁ???

仲良くカラオケ??いや、いいんですけど、40数年ぶりに会ったんですよね?少なくとも、色々あって離婚して、養育費も慰謝料もなくそれなりに苦労して。昔話でしょうし、恨みつらみとは言わないまでもわだかまりってないんでしょうか、不思議です。二次会でカラオケ~??何をどうしたらそういう流れになるんです?仲が良いのはいいことです、昔のことでもめることもないでしょう、だからってねぇ、わが母よ。

翌日、とりあえずメールだと面倒、話すには長くなるので、近いうちに会いましょうということになり、母からの報告会が開かれる。

心配していた要素について、まずはクリアされました。失礼な話ですが、事前に友人といろんなネタ=”お金の無心”これは問題外、”がん告知”これはちょっと困るね。”兄弟がいるならその誰かに大病で臓器提供”、ドラマの見すぎ? 色々想像してみたりして「どうするよ?」なんて想定問答したり、ハシャギすぎておりました。ついついゲスなネタで盛り上がっていたので、なんというか、少し肩透かし。いや、何もなくて良かったわけです。

私のお題その1 写メ取ってきて。
母は私のお願いの通り写メを取ってきてくれるわけなのですが、 まー古いガラパゴスでの撮影なので画質も悪けりゃ、ピントもあってない。とにかく、うす暗いお店の中で、斜めから撮ったその顔写真は、なんだかやつれていて朝黒く目つきも悪くて、どうにも普通の良い人には見えませんでした。カッコよくなくても良い、禿でもデブでもいい、なんというか良さそうな人であってほしい・・という、わずかな希望が打ち砕かれた瞬間でした。(寺島進が悪役のとき、薄暗い場所で睨みきかせてるような写真なんだもの)

写真って大事でした。プロフィール写真加工したり、素敵な写真だしたり、今時普通に自分より良く見せるツールがたくさんある中で、なんとなく慣れてしまっている。自分の中では写真盛るとか、それほど大事かな?とか思ってたんですけど、初対面とか会う前の人に対して、どんなビジュアルを見せておくかということはかなり重要だと、この時思い知ります。だってそんな目つきの悪い、浅黒い感じの悪い人と会いたくないわー。

★会いたい気持ち度 20%低下★

私のお題その2 兄弟のこと諸々
兄弟が3人と聞いていたので、勝手に男兄弟3人と思っていたら、男が2人で女が1人なこと が判明します。「相手は私のこと知ってるのかな?」 自然な疑問を投げかけてみます。というか、私は43年間何も知らなくて、相手は昔から私のことを知ってたとするなら、なんかいやだなぁとか複雑な思いもあったりして。

最近知ったらしいわよ

んんん?

「名前を?」最近知る?え?意味わからない・・・

どこから話したらいいかしらねぇ、と言いながら解説する母。要約すると

父は母と離婚の後に再婚し、その人とは子供もなく数年で離婚、三回目の結婚で3人のお子さんに恵まれる。で、なぜか、3度目の結婚の際、二度目のことは言っていたが一度目=私の母との結婚のことを内緒にしていたらしく、そしてなぜだか知らないが、奥様含め数年前にその存在=私たちを知ることとなったそうで、めちゃめちゃ怒られたらしい。当たり前だ!

びっくりぽん!もここまでくると、なんだか笑えてくる。娘の私は一度も嫁にいけないというのに父は3回(笑) 遺伝子よ、どこへ行った!

結婚を内緒にしとくとか、しかもバレちゃうとかもう、三文ドラマかよ!と突っ込み入れたくなるような浅さに、先方の家族のことを思うと、お父さん、なんともダメな人感がはんぱないんですが。私は別に隠されていたことにはどうこう思わないが、先方の3人の子供たちは、20歳を超えて、私=姉がいることを知らされてどう思うのか、、、とても申し訳ない気分になるのは何故だろう。衝撃が多すぎてもう、なんだかマヒしてくる。

★会いたい気持ち度 更に20%低下★

突然自分に姉がいると知らされる。これはこれでかなりファンキーな出来事だったんじゃないかと、想像に余りあります。これは私の家族のことではないので起きた出来事については、深くわかりませんがただその時の お子さん達の感情、私には少し分かる様な気がしていて、何ともいたたまれない気持ち。確かに昭和の頃には、3度目は珍しく、公にできなかったのかもしれません。 それにしても そんな状況の妹や弟達と会うということはなさそうですね。

そうそう、娘として母に忠告せねばなりません。
そういや、カラオケ行ったの?別にいいけど、向こうの家族にも申し訳ないからあんまり遅いのとかどうかと思うけど?
娘としては、当然の指摘。かと思いきや、上を行っていた!

あら、お父さん、離婚して今独り身なんだって

えええええ!
もうね、ネタが多すぎます。え?いつ?最近?
最近らしいです。

こんな身近に、熟年離婚。ワイドショーではおなじみの四文字熟語。こんなに身近でいたなんて、子供がみんな成人を迎えてってことなのでしょうか。大きなお世話ですね。エピソードが、想像をめったやたら超えてくるので、消化できない状況で、その時は今一つ突っ込むこともできなかったけど、よくよく考えれば、離婚して、、、それから元妻に物を送り始めた?なんかそれってちょっと??? 母が楽しく幸せならいいんですけどね、なんかもう、思考がおかしくなりそう。

なんかもっとね、穏やかで感動的なこと想像してたんですよ。「貴方にとても会いたがっていたのよ」とか「貴方の生まれた時の話をしてね」とかを聞いて、やさしそうだなとかいい人ぽいな、とか思って会いたいなーって自然と思うようになるんだと、思っていたんです。世の中そんなに普通じゃなかったようです。

昭和と平成のはざまで

「貴方(私)のこと、私(母)よりよっぽど詳しかったわよ。インターネット観てるんだって、あなた何か出してるの?」

「あー、そういうことね」ネットやfacebook をやらない母は 私の私生活の詳しいこと、今何をしているかと言う様な細かいことは私からもたらされる情報だけ、ほぼ知らない。それに比べ、インターネットを使える 父にとっては私を検索すれば情報が筒抜けだったのです。

私には1滴ももたらされない父の情報。父はいとも簡単に娘の情報を一方的に入手していたのかと思うと なんだか少しやるせない気分。「お父さんのこと調べなかったの?」父の名前は苗字も下の名前に関してもよくある名前で、FB検索したら1000人いそうな勢いなので、調べる気にもならなかったし、(実は本当の下の名前の漢字とか知らなかった)調べたところで行きつけなかったでしょう。自分の知らないところで、自分の情報が有効に利用されるという事実。。。

昭和の感情が平成の利便性に侵された気分

感情は昭和のままなのに、システムは平成。それをうまく自分の中で有効化できない 、sns を使っているのは自分だし、写真をアップしているのも自分で その情報はもちろん誰でも見られる。そんなことは分かっている。今まであまり、SNSを怖いとか思ってこなかったけれど、今回少し、怖いというか、色々考えないといけない気がしたのも事実、でもそれはまた別の問題。

会いたいと、欲せられない理由がわかった気がする。情報というのは無いから欲するのであって、ある程度与えられると、欲さなくなるもの。たしかに、FBなど見ていれば、きっと私の情報はもうお腹いっぱいでしょう。「会わなくても いいよね」と思ってしまう。拗ねているとかではなく、そりゃぁ、そうだよね。と。

私にはもちろん 待たされていなかった情報ですが、今は母から聞くことができるわけで、あえて顔を合わせて会う必要があるのか分からなくなった。というのが、正直な気持ちでした。 報告会を受けて 言えるのは、 私は父と会う意味があるのか?興味がないわけではない、しかし普通に生活していて、あえて父と会うことで何らか乱すことは私にとって必要なのか?ちょっと面倒な厄介事に巻き込まれに行くような、感情をあえて揺さぶりに行く必要はあるのだろうか?

私の心を見透かすように、母は「会いたくなったら会えばいいわ」と軽くまとめて、私は私で「次なんか送ってくれるならイクラがいいって伝えて」とおねだり。報告会終了。

それから、1ヶ月も経とうかと言う頃、突然届いたメール。

まじか!そうくるのか。わが母ながら、ウケるw 一体何を考えているの(笑)
43年ぶりの、というか初めての父との面会は「当日くる?」 的なことなのかー!そんな軽くて、そんなフランクなことなのかと、そのメールに詰まる私は私がおかしいのかと。怒りと、あきらめと、そういえばママもちょっとダメな人だった感、思い出した。

なんというか、娘は娘なりに色々思うところもあったり考えることもあったわけで、今は仕事で忙しくて忘れてたりしてるわけだけれど、父と母は何事もなかったかの様に、仲良く暇だから一緒にご飯食べると言う様な感じになっていた様で、それを当日 私にメールをしてくるというあたりが欲せられてない感、素直に会いたいと言えない所以子の心「親知らず」抜いてしまえ!

結局当日に行けるわけもなく、その後半月もたったころに相変わらずの「来週会うけどくる?」という何の配慮もないメールに、急すぎるからいけないと返すと、私にスケジュールをわせるということになり、断る理由も見つからないし、会う事になるわけです。

母の突然のメールから、約二カ月。ようやく父に会いに行きます。

あとがき
この当時まだ父に会っていないので印象がすごく悪いですが、それはまだ会っていないタイミングの娘心のモヤモヤだと思います。会って少し心の変化も生まれます。

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